マンションの浴室はどう選ぶ?不動産取引のプロが教える最新設備と快適ポイントを徹底解説

マンションを選ぶとき、リビングやキッチンがどうしても注目されがちですが、「浴室」こそ毎日の疲れを癒やす大切な空間。ここにこだわるかどうかで、住まいの満足度が大きく変わると思いませんか?実は近年、ユニットバスの進化やオプション装備の多様化によって、マンションの浴室仕様がバラエティに富んできています。

しかし一方で、「思ったよりもグレードが低い浴槽だった」「最新設備だと聞いていたのに、意外とコストカットされていた…」という声も少なくありません。そこで本記事では、マンションの浴室設備や最新トレンド、オプション機能、選ぶ際の注意点 を私の経験を踏まえながら徹底的に解説します。モデルルームや内覧でどこをチェックすべきか、また中古マンションのリフォームで何がどこまで可能なのか、一緒に見ていきましょう。


第1章:マンション浴室設備をチェックする意味とは?

1-1. 毎日の疲れを癒やす「浴室」の重要性

私の経験上、住まいにおいて「一番リラックスできる空間はどこ?」と聞かれると、多くの方が「お風呂」と答えますよね。浴室は、毎日使う場所でありながら、くつろぎや癒やしを得るための大切なスペース。実際に、忙しい中でもお風呂に入りながら音楽を聴いたり、バスオーディオを使ったり、スマホのミスト対策をして動画を見たりする方が増えています。

一方で、「マンションならば限られたスペースをどう上手に活用するか」が課題になるので、サイズ感や浴槽の種類、シャワーの使い勝手などの細かい要素が、日々の満足度を左右します。それに加え、設備のグレードが資産価値にも影響を及ぼす可能性があるため、チェックを怠れない箇所なのです。

1-2. コストカットが起きやすい「水回り」

新築マンションであっても、建築費の高騰やデベロッパーの経費削減により、水回り(キッチン・浴室・洗面台など)はグレードダウンされやすい部分です。実際に、パンフレットやモデルルームでは良い仕様をアピールしていても、いざ契約後の“現場”では「オプション扱い」や「標準装備が想像より低めだった」などの声も少なくありません。

だからこそ、モデルルームや内覧で細部をしっかりチェックする ことが重要。特に浴室は見落としがちですが、メーカーや素材、オプションの有無などを理解しておくと、将来のリフォーム計画や暮らし方にも役立ちます。次章では、具体的な「マンションの浴室設備一覧」をベースに、それぞれの特徴を解説します。


第2章:マンションの浴室設備一覧

マンションに設置される浴室設備や仕様として、代表的な項目を挙げてみると以下のようになります。

  • 浴槽サイズ・素材
  • 浴槽メーカーとグレード
  • 扉(開き戸・引き戸など)
  • シャワー(節水タイプ・浄水機能・マイクロバブルなど)
  • 浴室ライト(ブラケットライト or ダウンライト、除湿機能付きなど)
  • 床(樹脂素材・FRPなど)
  • 鏡(縦長ロングか横長ワイドか、曇り止め機能など)
  • オプション機能(浴室乾燥機・ミストサウナ・自動洗浄・ジェットバス・床暖房・浴室テレビなど)

ここでは、それぞれの設備をより具体的に、またメリット・デメリットを踏まえながら紹介していきましょう。星(★)マークで4段階に分けて、どの程度のグレードかも目安として示します。ただし、実際にはメーカーや製品によって異なることを忘れないでくださいね。


第3章:浴槽仕様について

3-1. 浴室サイズ

マンションのユニットバスは、戸建てに比べてどうしてもスペースが限られがちです。マンション全体の広さや間取りプランにより、以下のようなユニットバスのサイズ区分が採用されることが多いです。

  • 1317サイズ(約130cm×170cm)
    • コンパクトな3LDKなどで採用されることが増えている
    • 掃除面積が少なく温まりやすいが、バスタブが小さめ
  • 1418サイズ(約140cm×180cm)
    • ファミリー向け3LDKで最も一般的なサイズ
    • 大人でもそれなりにくつろげる
  • 1618/1620サイズ(約160cm×180cm or 200cm)
    • ゆったりと入れるサイズ。大型物件や70平米以上で余裕のある物件に多い
    • 背の高い人でも足を伸ばせる

私は、「家族構成や普段どのくらいお風呂時間を楽しみたいか」でサイズを考えるといいと思います。大きいサイズはもちろん贅沢感がありますが、その分浴室全体を広くとることになり、ほかの部屋の面積が犠牲になるケースもあるので要注意です。

3-2. 浴槽の素材

浴槽の素材は見た目や保温性、掃除のしやすさに影響。代表的な選択肢を紹介します。

  1. FRP(繊維強化プラスチック)
    • 最も一般的。価格が安く、カラーバリエーション豊富
    • 傷や汚れがつきやすい面もある
  2. 人工大理石
    • アクリルやポリエステル樹脂で作られており、高級感がある
    • お湯が冷めにくく、掃除も比較的楽
    • 値段はFRPより高め
  3. ホーロー
    • 金属ベースにガラス質を焼き付けた素材で、耐久性・断熱性が高い
    • 重量があり設置に手間がかかるため、マンションではあまり見かけない場合も。
  4. 日ポリ化工やJAXSONなどの特注浴槽
    • ハイエンドマンションに採用されることがあり、独自の質感と高級感が魅力

新築マンションだと、FRP~人工大理石が標準。人工大理石でもアクリル系は高価、ポリエステル系はやや安い などの違いがあります。特にハイグレード物件でよく見かけるのがアクリル系人工大理石で、見た目が上質で汚れを落としやすいのがメリットです。

3-3. 浴槽メーカーとグレード

最近の新築マンションではTOTO、LIXIL、Panasonicなどのユニットバスが主流です。それぞれに上下グレードがあり、たとえばTOTOなら「シンラ」「サザナ」、LIXILなら「スパージュ」「リノビオV」、Panasonicなら「Lクラス」「リフォムス」など多彩。さらに日ポリ化工やJAXSONなど、独自ブランドを採用した高級マンションもあります。

  • ★1(コストカットされている): ハウステック/トクラス/クリナップなどの下位グレード
  • ★2(標準レベル): TOTO WYシリーズ/パナソニック リフォムス/LIXIL リノビオV
  • ★3(高グレード): TOTO スパージュ/LIXIL スパージュ/パナソニック Lクラス
  • ★4(最高級): TOTO シンラ/日ポリ化工/JAXSON

実際にはマンションの価格帯やデベロッパーの方針で決まりますが、少なくとも TOTOゆるリラ浴槽やLIXILラウンドライン浴槽 などが標準として採用されていれば、最低限のグレードは満たしているといえます。


第4章:浴室付属設備を知る

4-1. シャワー

シャワーヘッドは意外と交換が簡単で、後から高級品に変える人も多いです。新築マンションで標準的に付いているのは以下のようなタイプです。

  • 節水タイプ: レバーを押して止水できるボタン付き、散水板を工夫して少ない水量でもしっかり洗える
  • マイクロバブル・ミスト: 肌当たりが柔らかく美容効果を期待する人も。
  • 浄水・塩素除去タイプ: 髪や肌へのダメージを軽減したい方向け。

後から交換できるとはいえ、マンションの設備として上位グレードを謳う場合、グローエ社製やハンスグローエ社製のシャワーセットを採用するなど、差別化する物件もあります。

4-2. 扉のタイプ

浴室の扉は主に 折れ戸 / 開き戸 / 引き戸 があります。

  1. 折れ戸
    • コストが安く、スペースを取らないが、清掃性にやや難がある
    • 賃貸や低価格帯マンションでよく見かける
  2. 開き戸
    • 新築マンションの多くが採用。扉裏面にタオル掛けを付けられるケースが多い
    • 倒れ込み事故の際に救助しにくいというデメリットを指摘する声もある
  3. 引き戸
    • 価格は高くなるが、バリアフリー性や掃除のしやすさに優れる。
    • スペースに余裕のあるマンションで採用されることが多い

また、扉の素材も 樹脂パネル / ガラス製 とあり、ガラス製だと高級感がアップしますが、重くて掃除に注意が必要。オプションで変更できるなら、予算や好みに応じて検討する価値ありです。

4-3. 浴室ライト

照明ひとつで浴室の雰囲気は変わるもの。主に以下が一般的です。

  • ブラケットライト: 壁に取り付ける従来型。
  • 埋め込み型ダウンライト: 高級感があり掃除もしやすい。
  • 除湿機能付きライト: カビ対策を兼ねた先進的な商品もある。

新築ではダウンライトが標準になりつつありますが、まだまだブラケットライトを採用しコストダウンしている物件もあるため、要チェックです。

4-4. 床

床材は樹脂パネルやFRPがメイン。滑りにくさ・清掃性が大事です。

  • 樹脂素材: 安価だが、傷に弱い場合も。
  • FRP: 強度が高いが、水垢が付きやすい側面あり。
    最近は、TOTOのほっカラリ床やパナソニックのスミピカフロアなど、独自技術で断熱・防カビ・手入れのしやすさを実現した床を各メーカーが展開しています。マンションでも上位グレードにはこういった床が採用されることがあります。

4-5. 鏡

縦型・横型・幅広ワイドなど様々。縦型ロングミラーだと全身が映り、横型ワイドミラーだと浴室を広く感じさせる効果があります。
鏡を大きくすると掃除面積が増えますが、見た目が豪華になるメリットがあり、オプションで横長ワイドに変更すると3万円前後の追加費用がかかることも多いです。


第5章:浴室オプション機能~快適バスタイムを実現

ここでは浴室のオプション機能として人気があるものを、星の目安に沿ってご紹介します。

5-1. ★1~2:標準に近い機能

  1. 浴槽の手すり
    • マンションによっては標準装備。高齢者や子どもの安全に役立つ。
  2. オートバス・追い焚き機能
    • 最近は標準的に付いているケース多し。ボタン一つでお湯張りから保温まで自動で行える。

5-2. ★2~3:少し上位の機能

  1. 浴室乾燥機/浴室暖房
    • 多くの新築マンションで標準だが、オプション扱いの場合も。洗濯物乾燥や寒い時期のヒートショック対策にも便利。
  2. 多機能・節水シャワーヘッド
    • 節水シャワーや止水ボタン付きシャワーは標準化が進むが、塩素除去などの機能はオプション扱い。

5-3. ★3:ややハイグレード

ミストサウナ

  • 浴室暖房乾燥機にミストサウナ機能が付いたタイプ。
  • 発汗効果、美容効果に期待。コストアップ要因となりやすく、最近はオプション化されることが増えた。

5-4. ★4:最高級クラス

  1. 自動洗浄機能
    • 浴槽のお湯を排水した後、洗剤を自動噴射してすすぎまで行う。忙しい人に嬉しいが価格は高め。
  2. ジェットバス(ジャグジー)
    • 高級ホテル並みのリラックス効果。配管やポンプなどが必要でメンテ費用もかさむ。
  3. 浴室テレビ/バスオーディオ
    • 長湯が好きな方は映画やドラマ視聴が楽しめる。
    • 浴室テレビは防水モデルだが故障リスクもあるため、ちゃんとした保証があるか確認。
  4. 床暖房やIoTシステム
    • 脱衣室だけでなく浴室の床暖房を採用し、冬場でも足元が冷えない仕組み。
    • 給湯器と連動したIoTで外出先からお風呂を沸かしておけるなど、最先端の快適性を実現。

第6章:マンションの浴室選びで気を付けること

6-1. メンテナンスのしやすさ

毎日使う場所だからこそ、掃除・ケアの手間を考えて設備を選ぶ必要があります。

  • カビ対策: 浴室乾燥機や換気設備、扉下の通気口などが十分か
  • 床や扉の素材: 溝が多いと掃除しにくい、フラットで汚れが溜まりにくい設計か

浴室の扉ひとつでも、開き戸や引き戸によって掃除の方法が違ってきます。オプションで開き戸→引き戸に変更するには10万円前後かかる場合もあり、事前に検討しておくと良いでしょう。

6-2. 省エネ・節水性能

長期間住むことを考えると、給湯器の効率やシャワーヘッドの節水性能は光熱費にも直結。エコジョーズエコキュート など省エネ給湯器を全体管理しているマンションもあります。シングルレバー水栓なども、無駄なお湯の使用を減らす役割があり、省エネや水道代削減に一役買ってくれます。

6-3. 快適な空間としての演出

浴槽サイズや形状をどうするか、鏡を大きくするかなどでリラックス度が変わります。私は、休日にじっくり入浴するのが好きな方は1618サイズ以上や人工大理石浴槽を推奨しますが、一方であまり家でお風呂にゆっくり入らない人には、無理にオプションで拡張する必要はないかもしれません。

マンションの梁や柱の影響で浴室の天井が低く感じることもあるので、モデルルームの展示と実際に建てられたユニットバスのサイズ・形状が異なるケースに注意してください。とくに 梁の位置天井高 は、体の大きい人には重要です。


第7章:内覧で見るべきポイント&リフォーム活用

7-1. 新築マンションのモデルルームでは「実物」との違いを確認

モデルルームは実際より広く見せるために工夫されていたり、オプションをふんだんに採用していたりするケースが多いです。浴槽も標準よりワンランク上を入れていたり、床や壁がオプションカラーだったりすることもしばしば。

  • 「これは標準仕様ですか?オプションならいくらかかりますか?」 と必ず確認を。
  • 「梁や配管スペースはどこにあるか?」 も聞いておくと良いでしょう。

7-2. 中古マンションリフォームでどこまでできる?

中古マンションを購入する場合、浴室リフォームでグレードアップするのも選択肢の一つです。ただし、ユニットバスのサイズを大きくしたいと思っても、既存の排水位置や配管スペース に制約があり、壁を動かさない限り難しいケースが多いです。また、マンション全体の構造や規約によっては、一切変更できない場合もあるので事前に確認が必要。

  • 後付けしやすいもの: シャワーヘッド、鏡の拡張、照明の一部交換など
  • 工事が大がかりなもの: 浴槽のサイズ拡大や位置変更、扉の引き戸化、浴室そのものの面積拡張など

マンションリフォームは管理規約との兼ね合いがあるため、工事前に管理組合へ申請を行い、承認が下りなければ着工できません。リフォーム会社にもマンションリフォームに詳しい業者を選ぶと安心です。


第8章:失敗事例から学ぶ

私がこれまで聞いた中で、浴室関連の失敗事例としてよくあるのが以下のようなものです。

  1. 「グレードの高いユニットバスだと聞いていたのに実際には下位モデルだった」
    • モデルルームの表示を鵜呑みにして契約したら、実際の標準仕様と違ったという事例。デベロッパーがパンフレットで使っていた写真はオプション多数のものだった。
  2. 「家族全員が背が高いのに1317サイズで窮屈」
    • 2人以上で入るシーンもあるなら、1418~1618サイズを最初から検討すればよかった、との後悔。
  3. 「マイクロバブルを重視して設備を選んだけど、意外と使わない」
    • 設備がハイスペックすぎても、忙しくてあまり活用できず、結果オプション代が無駄だったというケース。
  4. 「開き戸で問題なしと思ったけれど、家族が倒れたときにどう救出する?」
    • 老後のバリアフリーを考えるなら引き戸のほうが安心だった。あとから変更も難しい。

第9章:まとめ — 浴室こそこだわりを持って選ぶべき

今回の記事では、マンションの浴室設備について詳細に解説しました。毎日使う場所だからこそ、浴槽サイズ・素材・扉のタイプ・シャワー機能など、細部まで納得して選ぶことが重要 だと私は感じています。

  1. 浴槽のサイズ・素材: 家族構成や普段の入浴スタイルによって最適解が異なる
  2. 扉やシャワー: 清掃性やバリアフリー性を考慮。引き戸や節水シャワーなどの選択肢を比較
  3. 照明・床・鏡: 見た目だけでなく、メンテナンス性や省エネ性能を考慮
  4. オプション機能: ミストサウナやジェットバスなど豪華機能もあるが、コストやメンテの手間と自分のライフスタイルを見極める

新築マンションでは、標準仕様とオプションの境目が分かりづらい場合があるので、モデルルームで「どこまでが標準で、どこから有料か?」をしっかり確認しましょう。築浅でもコストダウンが行われているケースは多いですし、中古マンションなら現状がどうなっているか、そのままの機能で十分か、リフォームでグレードアップできるかを検討する必要があります。

私は、浴室を「リラックス空間」と位置付けるなら、多少コストがかかっても広めのサイズや快適な機能を選ぶ価値が十分にあると思います。反対に、「お風呂には最低限しか求めていない」という方なら、シンプルな設備で十分かもしれません。いずれにしても、自分自身や家族のライフスタイルに合ったバスルームを選ぶことが、マンション購入やリフォームで後悔しないための秘訣でしょう。

最後に、浴室設備もマンション全体の水回り設備や管理状況と密接に関わりますので、特に中古マンションを選ぶ際には「給排水管の老朽化状況や管理組合の修繕計画」にも目を向けると安心です。ぜひ本記事を参考に、より快適で豊かなバスタイムを叶える住まいを見つけてください。

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